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1999 年度 実績報告書

土壌動物による腐生食物連鎖と菌根食物連鎖のコントロールが樹木の成長に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 10660147
研究機関横浜国立大学

研究代表者

金子 信博  横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (30183271)

キーワード土壌動物 / 食物連鎖 / 菌根 / 樹木 / トビムシ / ババヤスデ
研究概要

本研究では,従来土壌系で重点的に測定されてきた落葉の分解から始まる腐生食物連鎖よりも植物(樹木)の根を経由した食物連鎖が重要であることを示し,土壌動物が根(菌根)を摂食することで樹木の成長がどのように促進されるのかを明らかにしようとした.主な成果は次の通りである.
1.アカマツ・コナラ林で樹木の根経由の炭素が土壌呼吸に占める割合を推定した.土壌呼吸を野外とマイクロコズムで測定し,さらに細根の動態を測定することで,樹木の根経由の炭素移動が土壌呼吸のうち54から75%を占めることを明らかにした.したがって,土壌系における物資循環を考えるにあたり,根経由の炭素が土壌における生物活動の主要な部分を占めていることが明らかである.
2.ババヤスデ科のミドリババヤスデが落葉だけでなく,土壌を摂食し,短期間に土壌中の窒素の無機化を促進し,カルシウムやマグネシウムといった栄養塩類の移動を促進していることを示した.ヤスデは腐生連鎖のメンバーであるが,土壌を摂食することは根由来の炭素を土壌微生物バイオマスを食べることで利用することができることが示唆され,土壌大型動物の根への依存性という問題点を指摘できた.
3.アカマツにコツブタケを接種して菌根を形成させ,オオフォルソムトビムシに摂食させるモデル系を作成した.トビムシは菌根よりも栄養培地上のコツブタケを好み,生根を切断することでトビムシによる菌の摂食が増加した.このことは,野外での健全は菌根はトビムシに摂食されにくいが,枯死したりなんらかの原因で活性が落ちた際には摂食されることを示唆している.したがって,トビムシの摂食は機能を失った菌根を摂食し,無機化速度を高める可能性があり,食害よりも物質循環速度の増加を通して樹木の成長を促進すると考えられた.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Kaneko N.: "Effect of millipede Parafontaria tonominen Attems (Diploprla : Xystodesmidae) adults on soil biological activities : A microcosm experiment"Ecological Research. 14. 271-279 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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