研究概要 |
弱毒性線虫(ニセマツノザイセンチュウ)の優占地域において,1997年は7月に1本,11月に3本の衰弱木が発生した。衰弱原因は被圧であった。これらの衰弱木はその発生年に媒介昆虫の産卵に利用されなかった。しかし,11月に発生した衰弱木のうちの1本が1998年の6月に媒介昆虫の産卵に利用された。1998年は4月から10月までの間に衰弱木は発生しなかった。4月から8月までの毎月下旬に5本のアカマツに強毒性線虫(マツノザイセンチュウ)を接種した。その結果,アカマツの発病は接種年の8-11月と翌年の4-8月に起こった。発病した10本のマツのうち,接種年に1本のマツが,接種翌年に6本のマツが媒介昆虫に産卵された。媒介昆虫カラフトヒゲナガカミキリが保持する弱毒性線虫数は日齢とともに減少し,日齢15-40で急激な減少が見られた。初期保持数によって4クラスに分けると,アカマツ枝への伝播曲線は一山型になり,そのピークは日齢20-40であった。アカマツ小丸太に青変菌と強毒性線虫を接種した後に,媒介昆虫マツノマダラカミキリ幼虫を付け加えると,その成虫に強毒性線虫を保持させることが出来た。この場合,線虫の接種から媒介昆虫の幼虫の付け加えまでの時間が短いほど,その幼虫が重いほど保持線虫数は多くなった。しかしながら,接種線虫数は保持線虫数に影響を与えなかった。
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