研究概要 |
1) 渓畔林の実態調査 1998年8月27日の豪雨および1998年9月22日の台風7号に伴う豪雨により多数の斜面崩壊、土石流が発生した福島県西郷町の阿武隈川支川千歳川、および京都府宮津市大手川支川柿ケ成川において、渓畔林の存在する箇所の縦断勾配、樹木の平面分布、樹木の種類、直径等を調査するとともに、土石流・土砂流の流下による渓畔林の被害、河道の浸食、河道および渓畔林内における土砂堆積状況を調査し、渓畔林による土石流・土砂流の減勢効果、土砂の捕捉堆積効果を検討した。この結果、河床勾配の緩い箇所に存在する渓畔林には土石流の減勢効果があり、また、土砂の堆積効果もあることが認められた。 2) 渓畔林が流れに及ぼす影響についての水理学的研究 渓畔林が存在する場合の流れの特性を明らかにするために、長さ15m、幅0.3m、高さ0.3mの勾配可変直線水路を用いて、模型の縮尺1/50で、樹木の直径を4,6〔mm〕、密生度を0.01,0.015,0.04,0.06〔cm^<-1>〕、流量を7.5,12,15〔l/s〕、水路勾配を1/50,1/20,1/10に変化させて実験を行った。この結果、渓畔林がある程度密生している場合には、鉛直方向の速度分布はほぼ一様になることが確認され、このときの平均流速をおおよそ算定する式を示した。さらに、水路にほぼ均一の砂を供給して移動床における掃流砂量を測定した。この結果、渓畔林の存在により水路底面に作用する有効掃流力が減少することが確認された。実験結果を基に、無次元有効掃流力の逓減係数βを求める式を提案した。また、抗力測定装置により樹木1本当たりに作用する抗力を測定し、密生度および水理条件により抗力係数が変化することを明らかにした。この実験結果を基に、理論的な考察を加えて密生度と水理条件より抗力係数を算定する式を提示した。
|