1) 子実体形成に関わる遺伝子の単離 エノキタケ(Flammulina velutipcs)について子実体誘導処理後7日目の菌糸体からcDNAライブラリーを作成し、誘導処理前の菌糸体との間でディファレンシャルスクリーニングを行った結果、誘導処理後7日目の菌糸体で特異的に発現している多くの遺伝子のcDNAクローンを得た。これらの遺伝子のノーザン解析、cDNAシーケンス、ゲノムシーケンスを行い、遺伝子の解析を行った。またコードしているアミノ酸についてホモロジー検索を行ったところ、ハイドロフォビン様タンパク質および酸化還元酵素様タンパク質との類似性が確認されたが、他の遺伝子はホモロジーを有するものが確認できなかった。 2) 遺伝子導入系の開発 担子菌であるエノキタケの形質転換系を確立するために、構造的に強く発現しているGPD(グリセロールアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ)遺伝子のプロモーター領域とターミネーター領域を用いる実験系の構築を検討した。 スエヒロタケ(SchizophyHum commune)において既に報告されている塩基配列を参考にしてPCRプローブを作成し、このプローブを用いてエノキタケのゲノムライブラリーより、GPD遺伝子を含むゲノムクローンを単離した。その制限酵素地図を作成し、GPD遺伝子を含む部分をサブクローニングし、これを導入系ベクターに挿入し、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子をを用いてそのプロモーター活性を測定した。
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