研究概要 |
高活性・高選択性リグニン分解菌IZU-154株を用いて、培地中の窒素および炭素量を種々に変化させた培養条件下でポリエチレン膜の処理を行った。その結果、窒素源(硫酸アンモニウム)を含有する培地ではポリエチレン膜の伸びと引っ張り強度の低下は僅かであった。これに対し、窒素源を全く含まない培地(N-0培地)では著しい低下が生じ、処理4日目以降は伸びが全く認められなくなり、6および12日間処理すると引っ張り強度は50%および73%低下した。また、N-0培地でポリエチレン膜を処理すると、2日間の処理で重量平均分子量(Mw)は716,000から296,000へ、12日間の処理では118,000に低下し、数平均分子量(Mn)の低下も認められた。さらに、ポリエチレン分解に及ぼす炭素量の影響を検討した結果、炭素源(グルコース)についても制限するとポリエチレン膜の分解が促進されることが判明した。 リグニンは培地中の窒素や炭素量を制限した条件下で白色腐朽菌によって効率的に分解されることが知られているが、上記のようにポリエチレン膜についてもリグニン分解に適した培養条件下で高度な分解が認められた。よって、リグニン分解に関与する酵素がポリエチレン分解にも関与している可能性があり、次年度はポリエチレン分解酵素系の解明を行いたいと考えている。
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