研究概要 |
日本の中山間地域を活性化するためには、樹木と比べて短期間で収入を得られる植物資源の開発が重要である。ここでは現在世界中で注目されている木質繊維作物ケナフの栽培と利用について検討した。 1)シュウ酸アンモニウム処理ケナフ靭皮繊維からは高粘度パルプが常圧蒸解で製造できる。しかし、実用化のためには漂白段階での脱リグニン負荷が大きい。そこで高温蒸解(170℃)より低い中間温度でのパルプ化を検討した。その結果,従来のソーダ法では温度上昇に比例して粘度が低下した。このさい、リグニンの低下は期待するほどではなかった。今後、ソーダ法以外の方法を検討する必要がある。 2)ケナフ葉部の未知酸性物質はハイドロキシクエン酸(ハイビスカス酸)であることは、粗結晶のIR、GC-MS、中和滴定、アルカリ処理、メチル化などの結果からほぼ間違いない。しかしまだ純結晶は得られていない。今後さらに検討が必要である。ハイビスカス酸はダイエット食品成分として有名なガルシニア酸の異性体であり、今後食品としての開発も期待される。 以上の知見は今後、中山間地域資源として開発するための情報として重要なものである。
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