研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,ヤマグワのメタノール抽出物を分画し,各画分の抗菌活性をPDA平板培地を用いて検討した。さらに,ヤマグワ中の抗菌物質であるオキシレスベラトロールを抽出単離した。 1.ヤマグワのメタノール抽出物の抗菌活性 昨年はペプトン・グルコース液体培地を用いて検討したが,その際ヤマグワのメタノール抽出物およびその画分が培養中に沈殿してしまい,菌糸体から沈殿物を完全に除くことが難しく,菌糸体重量の比較により抗菌活性を正確に求めることができなかった。そこで本年は,PDA平板培地に抽出物およびその画分を添加し,溶媒を揮散させた後,メシマコプ,マンネンタケおよびカワラタケ菌を接種し,菌糸コロニー直径を測定することにより各菌に対する抗菌活性を比較検討した。その結果,ヤマグワのメタノール抽出物のうち,フェノール性画分がメシマコブよりもマンネンタケ,カワラタケおよびシイタケ菌の成長を著しく阻害するという,昨年液体培地を用いて得られたものと同様の傾向が今回の検討においても得られた。これより,メシマコブがヤマグワの抗菌物質に対して明らかな抵抗性を示すことが確認された。 2.オキシレスペラトロールの抽出単離 ヤマグワのメタノール抽出物を酢酸エチルに溶解し,常法に従って強酸性部,フェノール部及び中性部に分画した。フェノール部を濃縮後,熱水に溶解した。熱水可溶部から生じた沈殿物を熱水を用いて数回再結晶させ,白色の結晶を得た。融点は201-202℃であり,オキシレスペラトロールの文献値とよく一致した。現在元素分析及びマススペクトルを検討中。得られた結晶がオキシレスベラトロールであることを確認した後に,ヤマグワのメタノール抽出物中のオキシレスベラトロールを定量する予定である。
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