本年度は昨年度作成されたDNAライブラリーを用いてマイクロサテライト領域の検出を行った。 グッピーのDNA断片を組み込んだ大腸菌のクローン約3000のうちCAリピートに対して陽性反応を示したのは25クローンであった。これら25クローンの塩基配列を調べたところ、3クローンにおいてAT、CA等の繰り返し配列が検出された。これら3領域を遺伝子座Pret1、Pret2、Pret3と命名した。これらの繰り返し配列をはさむように設計されたプライマーを用いてマイクロサテライト領域の多型性を本研究室においてクローズドコロニーとして継代飼育されているS3HL系統とG系統において調べたところ、Pret1とPret3で変異が観察された。S3HL系統では4対立遺伝子と6対立遺伝子が観察され、ヘテロ接合体率は0.727と0.687であった。また、G系統では4対立遺伝子と2対立遺伝子が観察され、ヘテロ接合体率は0.643と0.242であった。交配実験を行いこれらの遺伝子座における遺伝様式を調べたところ、いずれの遺伝子座もメンデルの法則から期待される遺伝子型が観察された。 以上のことから、これら2遺伝子座は遺伝マーカーとして有効であることが明らかとなった。
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