研究概要 |
平成10年度は成長期のホタテガイ卵巣を実験材料に,cDNAライブラリーの作製を行った。 1. cDNA合成とベクター挿入cDNAの選択 1月に採取して液体窒素で凍結し-80℃で保存しておいたホタテガイ卵巣は,これまでの研究で,卵黄蛋白を始め種々の卵形成関連蛋白が最も産生されていると予想された。この卵巣からRNase阻害剤存在下でTotal RNA抽出,Oligo-dTによるmRNA精製を行い,それを鋳型にして1本鎖cDNAさらに2本鎖cDNAを合成した。合成した2本鎖cDNAを電気泳動にかけて,0.5〜10kbpの範囲のcDNAをゲルから抽出した。 2. ファージライブラリの作製 抽出したcDNAをUni-ZAP XRベクターに挿入し,in vitroパッケージングした後,宿主大腸菌であるXL1-BlueMRF'株に感染させてプライマリーライブラリーを作製し,さらに増幅してファージライブラリーを得た。増幅後に検定したファージターターは3.3×10^9pfu/ml,組換え率は39.4%であった。アガロースプレート上に形成されたプラークをランダムに取り上げて,挿入cDNAのサイズを,ベクター上の挿入cDNAの両側にあるT3,T7プロモーター配列を使って,PCRで検定した。0.5〜2.4kbpの範囲で検出され,平均1.15kbpのライブラリーであることが判った。 十分な大きさのcDNAライブラリーが得られたことから,予定通り次年度はホタテガイ卵黄蛋白抗体を使って,卵黄蛋白cDNAのクローニングを行い,サブクローニングをして塩基配列を決定したい。できれば,解読した塩基配列から特異プローブを設計して,in situhybridization法による卵黄蛋白遺伝子発現細胞の特定も試みたい。
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