研究分担者 |
兼広 春之 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80134857)
藤田 清 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80017053)
佐藤 要 東京水産大学, 水産学部, 教授 (20017073)
胡 夫祥 東京水産大学, 水産学部, 助手 (80293091)
東海 正 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (30237044)
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研究概要 |
漁業資源を持続的に有効利用するために,漁獲対象魚種の資源量を正確に推定する必要がある。その手段の一つとして稚仔魚の定量採集が上げられる。本研究では,多獲性浮魚類の稚仔魚を定量採集するために,船速の変化や海況等に影響されずに網口断面積を保ち,常に一定水深を曳網することができる稚魚定量採集用中層トロール網(MOHT)を開発した。その成果を以下に示す。 (1)初年度では実施計画に従い,縦横比6.0,反り比15%,上反角20゜の湾曲V型デプレッサーを設計し,水槽実験により1.57の最大潜行力係数が得られ,従来から使われている平板型デプレッサーに比べて倍以上の潜行力を有することが確かめられた。次に,このデプレッサーを流速によって迎角が変化しない方法で模型網の網口フレームに取り付け,流速の変化による網の水深を計測した。その結果,30〜100cm/sの広い流速範囲において,網水深の変動幅はわずか4.4cmで,ほとんど一定水深を保持することが認められた。 (2)本年度ではまず昨年度の水槽実験で使用した模型網を用いて,東京水産大学の実習船"ひよどり"に乗船し東京湾羽田沖で曳網実験を行った。網の水中重量がゼロに調製されたMOHT模型型はワープ長20,30,40,50mの何れにおいても2.0〜4.0ノットの船速範囲内でほとんど一定水深を曳網できることが確認された。 (3)模型実験で得られた結果をもとに,網口2.25m×2.25m,全長12.5mで,開口比8.14の高強度ポリエチレン製網に翼面積0.99^2の湾曲V型デプレッサーを取り付けた実物網を製作し,中央水産研究所属の蒼鷹丸と東京水産大学の研究練習船海鷹丸にそれぞれ乗船し、駿河湾及びハワイ沖で実用化実験を実施した。その結果,網に30kgの水中重量があっても,ワープ長100mで船速を約2.0ノットから4.5ノットに増速したときに網水深の変動幅はわずか2.7mであった。ほとんど船速によらず一定深を曳網できることと,線上で容易に操作できることが確認された。特に,本研究で開発した稚魚採集網は特徴の一つとして,デプレッサーが常に設定迎角を保持することができるので,ワープ長さえ同じであれば,異なる操業回でも船速等の影響を受けずに同じ目標水深を曳網することができる。 このように,本研究では当初の目的が達成され,開発した網は中央水産研究所をはじめ,すでに幾つかの試験研究機関で稚仔魚の採集に使われている。今後標準的な資源調査用漁具としての普及が期待される。
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