海洋生物の遊泳行動を解析する手法としては超音波、電波によるバイオテレメンタリーやビデオカメラによる画像解析が一般的である。しかし、これらの手法は追跡に多大な費用・労力を要したり、水中での画像取得の困難性がある。そこで、我々は近年発展が著しいマイクロデータロガーを利用した海洋生物の行動解析を試みた。 国立極地研究所で開発されたマイクロデータロガー(UWE-PD2GA)を南極リュッツフォルム湾ラングホブデ袋浦のアデリーペンギン及び生け簀内のマダイ並びに実験池(125mx42mx3m)のマダイに装着してデータを得た。本データロガー長さ122mm、直径20mm、水中重量17.7gで遊泳速度、遊泳水深に加えて2方向の加速度を測定できる。アデリーペンギンの加速度データをスペクトル解析することで、ペンギンの潜水行動中のフリッパー羽ばたき回数を求めることができた。また、マダイの加速度データから加速遊泳中の尾鰭の振動数が求まった。さらに、遊泳速度の変化からマダイの遊泳行動をいくつかのパターンに分けることができた。 自由遊泳するマダイに装着した心拍測定超音波ピンガー(DOK-1)と加速度マイクロデータロガーから心拍数の変化と遊泳行動との関係を求めた。心拍測定数測定超音波ピンガーはマダイのECGのR波の対応した超音波パルスを送信することができる。実験の結果、マダイの行動は日の出を境に活発化し、それと同時に心拍数が増加することが明らかとなった。
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