研究概要 |
研究室で継続的に飼育したヒメダカに,内分泌系撹乱物質としてPCBと有機スズ(TBT)を複合(各1μg/g)投与し,その産卵量を調べた。その結果,PCB+TBT投与によりヒメダカの産卵量,産卵頻度が低下し,内分泌が攪乱されたと推定された。またそのEstradiol 17B(E2),Teststerone(T)の量を測定したところ雌雄ともにE2が増加しTが減少する傾向が認められた。 雄の繁殖行動はビデオで記録し,目視で行動を記述した。曝露雄がプロスタグランジン投与雌に対する求愛円舞行動は,1/2に低下しており,TBT+PCBが雄の産卵行動を抑制したことが明らかとなった。 また,PCBとTBTを3ヶ月間単独もしくは複合(各0.3μg/g)投与し,TBTを投与した区では3ヶ月飼育後の生存が約3割と低かったが,PCB+TBT複合投与した区では生存が高かった。この原因としてはPCBにより誘導された薬物代謝酵素がTBTの解毒を促進したためと考えられる。魚体中のTBT濃度を測定した結果,PCB+TBT投与区がTBT投与区に比べ低いことからも裏付けられた。
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