研究概要 |
先に我々は、コイから2種類の補体B因子/C2様のcDNA(B/C2-A,B/C2-B)を単離し、B/C2-Aは他の脊椎動物のB因子/C2のホモログであるが、B/C2-Bはドメイン構造の異なる新規補体成分であることを明らかにした。本研究は、これら2つのB因子/C2の機能を解明するために、両成分の推定アミノ酸配列から抗原性の高い部分配列を抽出し、抗ペプチド抗体を作成し、その抗体の特異性などを検討した。B/C2-AおよびB/C2-Bの推定アミノ酸配列から、EMBLのPredictProteinサーバーを用いて二次構造を予測し、分子表面に露出していると考えられるターン構造をとる部分を、2ケ所(D因子による切断部位、およびvonWillebrand factorドメイン内)選択した。これらを基に、15アミノ酸残基からなるペプチドを計5種類合成し、それぞれをkeyhole lympet hemocyaninと結合させた後、フロイント完全アジュバントとともにウサギの皮下に投与した。抗体はBSA-ペプチドを抗原として用いたドットブロット法によって検出した。3ヶ月間の免疫によって抗体価2000〜8000の抗血清が得られた。これを硫酸アンモニウム沈殿で分画後、ペプチドを固定化したFMP活性化セルロファインカラムを用いてアフィニティー精製した。ウエスタンブロッティングにおいて、作成したすべての抗体は、正常コイ血清中の分子量約90kDaのバンドを認識した。一方、ザイモサン処理によって補体を活性化した血清に対しては、90kDaのバンドの他に、66kDaおよび60kDaのバンドが認識された。これらの結果は、コイ補体B因子/C2は90kDaのタンパク質として血清中に存在し、補体の活性化に伴って66kDaおよび60kDaに断片化されることを示している。
|