Picoplankton(0.2-2μm)の生物量は、nanoplankton(2-20μm)の生物量よりも大きく、独立栄養のものは、水深が増すにつれて大きく減少するが、従属栄養のものは減少の傾きが緩やかであった。独立栄養picoplanktonの現存量と従属栄養nanoplanktonの現存量は正の相関が有意であり、両プランクトン群集にとって、好適な環境条件は似ていると考えられる。 全microplankton(20-200μm)の現存量は、クロロフィルaの最大層よりも浅層で最大値を示した。また、渦鞭毛藻類および繊毛虫類では、鎧板や殻をもたない裸のものが優占していた。大陸棚域と黒潮域を結ぶ側線上のmicroplanktonのバイオマスは、黒潮側の測点でやや高く、また、その分類群組成は一様ではなかった。 繊毛虫プランクトンの分布および分類群組成では、表層でsubclass Choreotrichia、特にsuborder Oligotrichinaが優占し、深層ではsubclass Choreotrichia以外の繊毛虫プランクトンが優占した。殻を持つ有鐘繊毛虫suborder Tintinninaの出現割合は、全測点、全層を通してわずかであった。一部の繊毛虫は種のレベルまで分類することができ、種ごとに水温、塩分に対する出現特性が異なることがわかった。
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