研究概要 |
1.ノリ(海苔)からの高純度ポルフィラン(Por)の効率的分離法を確立した。破砕したノリを80%エタノール中、75℃、2時間攪拌して色素などを抽出・除去した。得られた脱色ノリを水で95℃、1.5時間攪拌してPorを抽出した。抽出液中の核酸をヌクレアーゼP1で分解した後、その濃縮液からエタノール分別沈殿によりPorを沈殿させて(エタノール濃度43〜57%(v/v)沈殿画文)、高純度Porを得た(ノリからの収量23%)。 2.Porの構成糖分析法を確立した。Porの特徴的構成糖である3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース(AG)は、酸加水分解やメタノリシスにおいて破壊されるので、GLCやHPLCでよる分析が不可能であった。Porを無水条件下でメルカプトリシスすることにより、AG及びその他の構成糖をジエチルジチオアセタール誘導体として定量的に遊離させることに成功し、これら誘導体をGLCまたはHPLCで定量する方法を確立した。この分析法により、Porの詳細な性質や構造の研究が可能になった。 3.ノリの化学的品質判定法を案出した。Porの糖組成がノリの品質により著しく異なっていることを見いだし、この性質をノリの品質判定に応用した。 4.Porは、分子サイズ(平均分子量13,000)、糖組成及び硫酸基含量において著しく不均一であることを具体的に明らかにした。 5.Porが示す著しい不均一性の原因を究明した。Porをβ-アガラーゼで徹底的に分解し、分解物を分画・分析して、Proには30〜60個のGal残基の並んだ糖鎖構造(ポリガラクトース構造と提唱)を有する分子が20〜30%存在することを明らかにした。この化学的性質がPorのゲル化を妨げている主要因であると考えられる。
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