研究概要 |
1.脂質過酸化は食塩の存在下で進行することが知られているが、その理由として食塩によるFeイオンの遊離が考えられている。そこで、魚肉貯蔵中における4-ヒドロキシー2-ヘキセナール(HHE)、マロンジアルデヒト(MA)、カルボニル修飾タンパク質(CP)およびn-3高度不飽和脂肪酸(n-3PUF)A変動におよぼす食塩の影響を調べると共に、EDTAにより脂質過酸化が抑制されるかどうかについて検討した。 2.市販のブリおよびカンパチ普通筋に種々の濃度の食塩およびEDTAを加えた後、0℃で貯蔵した試料について、HHE、MA,CPおよびn-3 PUFA含量の経時的変動を測定した。 3.食塩を添加した試料については、脂質過酸化の進行が認められ、MAおよびCP含量は増加した。しかしながら、HHEについては食塩添加により低下する傾向が認められた。EDTA添加は食塩による引き起こされるMAおよびCPの生成を畜肉とは逆に促進した。 4.αートコフェロールおよびアスコルビン酸強化餌料で飼育したマダイ筋肉を4℃で貯蔵し、筋肉中のHHE含量およびチオバルビツール酸反応物質(TBARS)値の変動を調べた。TBARS値の変動からみて、αートコフェロールおよびアスコルビン酸を添加した区の脂質過酸化の進行は抑制されたが、HHE含量は増加した。 5.燻液(萬有栄養株式会社およびサクラチップを400℃で炭化する事により得られた燻液)を種々の濃度になるように添加後4℃にて貯蔵した飼料についてHEE、MA,CPおよびn-3 PUFA含量の経時的変動を測定した。 6.燻液添加によりMAおよびCPの生成は抑制されたが、HHEは増加した。 7.以上行ってきた実験結果から、HHEは脂質過酸化の進行が遅れるような条件下で増加すると考えられる。
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