研究概要 |
ティラピア肝細胞(THC)が結合できないコイpFN(CpFN-I),結合できるティラピアpFN(TpFN-I),ナマズ肝細胞(CHC)が結合できないウシpFN(BpFN)のプロテアーゼ分解により得たフラグメント(Fg)をゲルろ過により分離し,両HCと特異性の低いウナギ肝細胞(EHC)に対する結合性を比較した結果, 1.CpFN-IのプロナーゼFgから、EHC及びTHCそれぞれに優先的に結合するFgを分離した。2.CpFN-IのサーモリシンFgからEHCのみに結合するFgを分離し,これをさらにプロナーゼにより分解したところTHCに対する結合性を発現した。このサーモリシンFgのプロナーゼ分解物から両HCそれぞれに優先的に結合するFg及び両HCに結合するFgを分離した。また,両HCのそれぞれに優先的に結合するFgと両HCの結合はRGDSペプチドによりほぼ完全に阻害された。3.TpFN-IのサーモリシンFgから両HCそれぞれに優先的に結合するFg及び両HCに結合するFgを分離した。 これらの結果から,EHC及びTHCは両pFN上のRGD配列を中心とする異なる結合部位を認識し,CpFN-Iに対するTHCの結合不全はCpFN-I上のTHC結合部位がマスクされているためと考えられた。 4.BpFNをスブチリシン分解し,さらにペプシン分解したFgからEHC及びCHCそれぞれに優先的に結合するFgを分離した。5.BpFNのサーモリシンFgからEHCのみに結合するFgを分離し,これをさらにスブチリシンおよびペプシン分解したところCHCに対する結合性を発現した。 これらの結果から,EHC及びCHCはBpFN上の異なる結合部位を認識し,BpFNに対するCHCの結合不全はBpFN上のCHC結合部位がマスクされているためと考えられた。
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