本研究では、(1)フードシステムの構造変動要因に関する理論的研究、(2)水産業の産地における水産物流通、(3)消費地における水産物流通、(4)食品産業のTFPの計測、(5)産業立地論的にみたフードシステムの6項目について扱った。 について検討した。 (1)伝統的な経済理論では「家計」は消費主体であり労働を通じて所得をうると考えられてきた。しかし、労働が希少となり社会進出するに従い、家事労働を家計内の生産と見なして調理済み食品の購入、育児その他の家事を労働の市場での調達を経済学的に分析する研究がなされるようになった。ここではベッカーらによる「家族の経済学的研究」のサーベイをおこなった。 (2)水産物産地流通の変遷、現状と課題、 (3)では量販店における水産物取り扱い、消費地卸売市場の動向と問題などについて検討した。 水産業でのフードシステムでは養殖技術の進歩が在来の生産様式に与える影響が問題となり、輸入増加とも関連する問題である。フグは養殖技術が確立しつつあり、天然のフグと市場において競合する関係にある。他の魚種についても同様の問題がある。ほかに岩手県の三陸沿岸の養殖漁業についても調査をおこなった。 (4)では食品産業の総要素生産性の計量分析、 (5)は地域経済論的にみた計量分析である。
|