研究課題/領域番号 |
10660205
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大鎌 邦雄 東北大学, 農学部, 教授 (40292255)
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研究分担者 |
齋藤 和佐 東北大学, 農学部, 助手 (90241554)
冬木 勝仁 東北大学, 農学部, 助教授 (00229105)
工藤 昭彦 東北大学, 農学部, 教授 (00073966)
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キーワード | 大規模経営農家 / 米価 / リスク管理 / 農地流動化 / 生産調整 / 食糧法 / 東北地方 / 農業法人 |
研究概要 |
本年度に行った調査・研究の内容は以下のとおりである。 (1) 農業センサスのデータを整理・分析し、大規模稲作経営の動向を把握した。 (2) 農林水産省及び農業総合研究所に所蔵されている大規模稲作経営に関する既存の調査結果を収集、整理した。 (3) 以前に行った調査結果を基に、東北6県の代表的大規模稲作経営者にアンケート調査を行い、結果を整理した。 (4) その内のいくつかの大規模稲作経営のヒアリング調査を行い、経営におけるリスク管理の状況を事例的に把握した。 (5) 大規模稲作経営のリスク管理にとって必要な農地利用集積の先進事例のヒアリング調査を行い、行政、農協による支援方策について検討した。 その結果、以下の点が明らかになった。 (1) センサス分析の結果、5ha以上の大規模稲作経営は1985年から90年にかけて、90年から95年にかけて増加しており、とりわけ東北地方ではその傾向が顕著である。 (2) しかしながら、いまだ農業生産の担い手の大半は小規模経営であり、大規模経営は面的広がりを持ち得ていない。 (3) その結果、大規模経営のリスク管理方法の標準化がなされておらず、個々の経営者は自らの経験と勘に頼ったリスク管理(天候の変動や農産物価格の変動など)を行っているに過ぎない。 (4) また、地域毎にリスク管理方法の標準化などで大規模稲作経営を支援すべき行政や農協も、いまだ大規模経営が点的存在であることから、標準化すべき経験値を集積し得ておらず、十分には支援機能を果たせていない。 (5) 大規模経営支援策の一つである農地流動化・農地利用集積に関しても、行政・農協レベルである程度成功しているところも見受けられるが、概ね経営者が主体となって取り組んでいる段階にとどまっており、大規模稲作経営が面的広がりを持てない一要因となっている。
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