研究課題/領域番号 |
10660214
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
白武 義治 佐賀大学, 農学部, 助教授 (10192121)
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研究分担者 |
細野 賢治 九州共立大学, 経済学部, 講師 (90271428)
宮崎 卓朗 佐賀大学, 経済学部, 助教授 (50209889)
甲斐 諭 九州大学, 農学部, 教授 (70038313)
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キーワード | 食品加工産業 / 酒造業 / 豆腐製造業 / 野菜漬物製造業 |
研究概要 |
地域食品加工業の持続的「再構築」は、高い地域密着性ゆえに、地域就業の機会の創出・地域経済の活性化や地域農業を振興していくうえで、また、地域住民の食習慣や地域特有の嗜好「味」や栄養バランスなどを守っていく視点でも極めて重要であり、いま検討されなければならない緊急な課題の一つとなっている。そこで、本研究では、労働集約的で地域密着性を維持してきた「在来型食品製造業種」のうち、九州内の「第一次食品加工業」の酒造業、豆腐製造業、野菜漬物製造業を研究対象として、関連原料産地、卸売段階から小売段階までの各流通業者に限定し現地実態調査を行い、地域食品加工業の持続的「再構築」と地域農業振興の諸条件を検討した。 調査分析の結果、判明したことは主に次のとおりであった。本研究で取り上げた九州の主要な酒造業、豆腐製造業、野菜漬物製造業など地域食品加工業に共通することは次のとおりであった。第1に、多くが中小企業に分類され、食品加工労働力は地場雇用への依存率が高く労働集約的産業である。第2に、加工食品原料を輸入農産物に依存する傾向のなかで、地場産原料の利用率が高い。第3に、その加工食品の流通は地場地域流通性が高く、伝統的に地場消費と結びつき地域食文化を担う形態であると考えられる。しかし、近年、大規模食品加工業による全国広域流通商品=全国ブランド商品の参入によって、在来の地場流通食品と地域流通圏で熾烈な競合関係が発生している。このような状況下、地域食品加工業がその影響を受け統廃合もしくは廃業を余儀なくされ、資本系列化される傾向もみられた。地域食品加工業の持続的「再構築」の1条件に、地域内資源・商品循環システムの構築と行政的支援がある。
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