研究課題
基盤研究(C)
本研究は、流通の大型化・国際化のもとで動静の著しい和歌山県園芸産地を事例に、生産者の経営構造の変化、産地の市場対応の視点から分析し、産地再編メカニズムを具体的に解明するとともに、今後の国内産地に求められる課題を提起した。流通の「大型化」・「国際化」の実際を和歌山県園芸産地の実態に即して把握するため、既存統計資料の整理・分析を行うとともに、県下主要産地に対するヒアリング調査等を実施した結果、園芸産地再編の形態については概ね以下の諸類型を析出した。果樹産地については、次の5つの形態が検出された。(1)高品質化・差別化と共販体制の再構築を軸に産地再編が進行している地域(柑橘)、(2)規模拡大と地域産業複合化のもとで産地再編が進行している地域(ウメ)、(3)落葉樹を主体に産地再編が進行している地域(モモ)、(4)常緑果樹からの転換と「品種転換」により産地再編が進行している地域(カキ)、(5)果樹産地において花さきが導入されている地域(複合化)。野生産地については、次の3つの形態が検出された。(1)地場特産物を軸に産地展開している近郊野菜地域(和歌山市)、(2)野菜生産が後退しているとはいえ地場野菜を軸に流通多元化が進展している地域(那賀地域)、(3)野菜から花きへの産地転換が進行している地域(日高地域)。本研究は、以上の園芸産地再編の諸類型に基づきそれぞれの実態解明を行った。(1)流通の大型化・国際化の影響を受け産地再編が進展していること、(2)それに加えて、担い手・立地・他産地との競合等様々な諸条件下でそれが進行していること、(3)農協組織等の組織再編とも関連して進展していることなどが明らかとなった。
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