今日、若い担い手確保とそこへの経営継承は最も重要なテーマとなりつつある。今年度の研究実績としては、そうした担い手確保の都道府県の多くの事例と、遊休農地解消対策のいくつかの事例とを集中的に収集した。後継者不在・高齢農家の大量賦存に加えて、農業就業者も高齢化していくことから、意欲あふれる若者をいかに農業にとどめるか。と同時に、地域資源たる農地を有効利用していけるかにかかっている。当面の課題は、担い手減少をいかに対処し、いま営農している担い手をいかにすれば維持でき、農地を継承できるかにある。 既存の担い手の利用選定から外れた農地を集積して、公的に、あるいは第3セクターが管理耕作しても当然のことながら作業効率も圃場条件・耕作条件自体がかなり劣悪である。多くの市町村公社等としては、地域担い手も受けない劣悪条件の農地を「落穂拾い」的に管理している傾向が強い。したがって、採算性や収益性はきわめてきびしく、事業を拡大すればするほど耕作条件の不利なものを抱えざるをえず、ますます赤字を累積させる構造となる。そうした農地に公的介入すべきではないとの意見も強いが、採算性にある農地にだけ介入ればよいというものでもない。それは個別経営でも可能である。耕境確定は、市場原理に依存して耕境後退も市場メカニズムにのみ任すべきではなく、ある程度は長期計画のもとで、守るべき農地を地域として策定しそのエリアの農地は確実に守っていくし担い手も育てていく必要性を痛感する。地域資源を守る「人と土地」との関係を、それぞれ「地域主体」でメニュー化しなければなるまい。
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