本年度の主な実績は、淡路島一宮町の園出集落(23戸)、深草集落(34戸)における震災5年後のアンケート調査である。調査項目は、震災後の建物配置と建物の被災状況、新改築状況、営農状況、ため池の被災・復旧状況、田主の機能や運営、農地の被災・復旧状況及び復旧時期等である。主な結果は次の通りである。 1.家族人数は両集落ともに、震災後は震災前に比べ、若干減少傾向にある。農業従事者数も同様に若干減少傾向にある。 2.建物に関するアンケートは園出集落のみであるが、被害を受けなかった世帯は一戸もなかった。母屋は全世帯23戸中11戸と半数が全壊している。新築に際しては2階建ての母屋にした農家が多い。建物配置は震災前とは若干変えて新築・改築をしており、被害の比較的少ない建物に手を加え再利用しようとしている傾向があった。 3.耕作放棄をしている区画は、両集落ともにほとんど農家で変化は見られない。震災後作付け面積が変わった作物としては、タマネギとコメの減少である。その理由は老齢化と安価を指摘する農家が最も多い。作物の作付け動向に関しては震災の影響は少ない。 4.園出集落の農地被害は災害復旧事業の対象になった農地19区画のうち、10区画が震災後2年目までに復旧し、4区画は不明、残り5区画は元に戻っていない。災害復旧事業の対象外になった被災農地24区画のうち、震災後3年目までに復旧したのは17区画、不明3区画、残り4区画は元に戻っていない。震災後5年を経過しても農地の復旧は完全とはいえない。
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