研究概要 |
研究目的は,河川や内湾等の浅水域における「水環境」が,密度成層及び底質浮上の水理特性と,底床境界面における無機・有機物質等の代謝に関わる水質形成機構とを,観測及実験に基づいて解明し,水質改善及び保全対策を具体的に解析究明することである。 大橋は,都市型排水河川の約2kmの砂礫河床区間における水環境形成に関する現地観測(24時間毎時,1週間連続)を実施し,都市排水の水量の日サイクル波形と水質項目ごとの変化特性との関連を中心に以下の成果を得た。この現地観測には,計画通りの測定機器(水位計及びマルチ水質計)を購入し,所期の有効なデータを得た。まず,対象区間の上・下流端における水温データから,都市排水と砂礫河床区間における水温形成を,気温・日射量の気象因子との関連について解析し,日周期の昇降特性を把握した。次に,毎時25回の採水の水質分析結果とマルチ水質計の測定値(DO,EC,ORP)との比較検討により,砂礫河床区間における自然浄化能に関する解析検討を進め,流達特性と各水質項目の増減による大まかな浄化能の性状を把握した。しかし,この成果については,多数の観測結果に基づく検討が必要であり,今後さらに観測を継続する。 戒能は,閉鎖性浅海域(北灘湾)において,上記の同購入機器と既存の機器を用いて現地観測(数日〜1月間)を実施し,底泥直上の水質変化を中心に水質形成に関わるデータを得た。この他,関連する海象データを収集し,両者の資料から水温躍層形成・解消と水質形成との相互特性等の解析検討を進めている。また,室内実験に基づくORPモデル等の検討により,底質材の酸素消費量の測定に寄与する新たな知見を得た。
|