研究概要 |
本研究では,我が国寡雨地帯である瀬戸内地方に位置する諸流域および中米半乾燥地域(ホンデュラス共和国)に位置する流域で観測された諸水文データに基づき,流域蒸発散量の実態を明らかにするとともに,流域の植生・乾湿条件が流域蒸発散量に与える影響を検討した。 最終年にあたる今年度は,ランドサットデータを用い正規化植生指標(NDVI)等を求めることによって,各流域の植生状況を定量的に評価した。その結果,森林に覆われた流域,山火事の影響を受けた流域,造成畑地流域などにおける植生の状況を的確に把握することでき,NDVI値と各流域の年蒸発散比の間にかなり高い相関関係の認められることが明らかとなった。また,1994年のような異常渇水時における流域の乾湿状況等も把握することができた。 次に,このような蒸発散特性を考慮した蒸発散サブモデルを長期間流出モデルに導入し,流域水循環の立場からいくつかの流域における蒸発散特性を検討した。まず,本モデルを詳細なデータが蓄積されている大洲山林地流域および造成畑地流域に流域に適用したところ,良好な結果を得,両流域の蒸発散特性の違いを明らかにすることができた。また,半乾燥地域における流域に適用し,流域の乾燥が蒸発散に与える影響を詳細に把握することができた。 最後に,今年度の成果とこれまでの研究成果を併せて,とりまとめを行った。
|