研究概要 |
本研究では,青果物の呼吸を「酸素を消費し二酸化炭素を排出する」という一つの反応と見なし、酸素と二酸化炭素をそれぞれ反応基質と反応阻害物質としてとらえ、見かけ上、一つの酵素がこの呼吸反応を触媒していると仮定した。すなわち、酸素濃度が一定で二酸化炭素濃度が異なる種々の条件下で呼吸速度を測定して二酸化炭素による呼吸阻害機構を解明する。その基本原理は、『炭酸ガスが呼吸反応の抑制する阻害物質である』と捉えることである。 そのためには,酸素濃度を固定した上で,二酸化炭素濃度を変化させて青果物の呼吸量を測定することが必要であるため,まず最初に,市販されているガス混合機を購入し,目的通りのガス組成を酸素,二酸化炭素,窒素の混合ガスにおいてが得られるように改良した。すなわち,二種の混合ガスに残りのガスを混合できるように工夫した。 次に,ブロッコリについて種々のガス環境条件下で呼吸量を測定し,その呼吸速度を一般的な酵素反応速度論で多用されているMichaelis-Menten機構に基づいて解析して、炭酸ガスによる阻害形式を拮抗型、非拮抗型、反拮抗型、混合型に分類し、Michaelis定数(Km)、阻害定数(Ki)、最大速度(Vm)等の反応動力学的定数を算出して、阻害形式を求めることに取り組んだ。 今後は,ブロッコリについて反応速度論的パラメータを調べ、次に低温障害やガス障害をうけた青果物について算出したパラメータと阻害形式を個体レベルの性質と関連させて検討する。
|