我が国では現在、米は大半が玄米の形態で低温貯蔵されている。中・長期的な米の貯蔵のため、近年普及が進んでいるクリン米で貯蔵することにより、コスト面と倉庫の容積効率の面で改善できるか否かを検討した。貯蔵形態として、籾、玄米、白米、クリン米2種を選び、さらに、玄米の肌ずれ、白米の精白率、真空包装の効果についても検討した。含水率と貯蔵温度を2段階に設定して、経時的に品質指標値を測定することによって形態の特長を比較した。貯蔵期間は1年半を予定しているが、本研究はそのうちの初期段階のものである。通常の白米は表面に糠が残留している。そこに含まれる脂質が酸化し、脂肪酸を生成するため表面色、脂肪酸度および食味値の面から、最も悪い結果を示した。しかし、表面を湿式で研磨処理したクリン米については、全ての面で指標値の変化が小さく、品質の維持に優れていることがわかった。ただし、温度の影響が見られ、今後、引き続き指標値の測定を行い、低コスト化の観点から含水率との組み合わせを含めて、最適条件を考察する予定である。玄米と白米に対する真空包装は脂肪酸度および食味値の変化にわずかな効果は現れたが、現実的には不要と思われる。玄米貯蔵の米の測定については、精白率の調整が困難であるため、測定値が変動する。そこで、精白率と脂肪酸度の関係を求めた結果、両者には一定の関係が見出された。つまり、脂肪酸度の高い玄米を精白した白米の脂肪酸度も高くなっており、玄米が安全な貯蔵のための形態とは限らないことがわかった。
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