研究課題/領域番号 |
10660241
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
山崎 稔 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (00026460)
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研究分担者 |
清水 浩 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (50206207)
笈田 昭 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10026461)
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キーワード | メタン発酵 / バイオマス / 太陽エネルギー利用 / 廃棄物処理 / ローカルエネルギー |
研究概要 |
本研究は都市ゴミをはじめ農林分野からの未利用バイオマスを環境負荷を高めることなく処理することから一歩進めてエネルギー資源として活用することを目的とした。具体的には、メタン発酵によるバイオガスを石油後の新エネルギーの一つとして確立するために必要な下記の研究成果を挙げた。 1.繊維性のバイオマスは分解しにくく、メタン発酵の効率が低いという基礎的問題がある。適切な前処理法として塩酸蒸煮による化学的処理方法が発酵効率・手間・コストの点から優れていることを明らかにした。試作システムの発酵能力は、ガス化率0.528[L/g]、メタン含有率48.4%と、高繊維性バイオマスとしては満足できる結果が得られた。 2.現存のメタン発酵施設は発酵温度を維持するために生成バイオガスの燃焼熱を利用することにより稼働しているものが多いが、これでは周年安定したエネルギー生産施設としての機能は期待できず、年間稼働率は一般に低い。 本研究では、必要とされる発酵温度(中発酵:36℃)の維持、発酵槽内の攪拌動力、発酵原料である基質投入などの全エネルギーを太陽光発電による電気エネルギーにより賄うメタン発酵システムを構築した。京都において年間を通じてバイオガス生産の長期実験を行った結果、最低気温の1月はシステム消費エネルギーより生成エネルギーがわずかに下回ったが、太陽光発電によって周年安定したメタンガス生産が達成できることを確認した。 3.投入したフスマに含まれる炭素の29.8%、フスマのもつ熱エネルギーの50.5%をメタンガスとして回収できた。 4.以上から、安定したメタン発酵システムとして太陽光発電エネルギーの利用は大きな可能性があると言える。
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