研究概要 |
平成11年度は,自脱コンバインの選別部において,籾やチャフ等の空気選別が行われる1番オーガからチャフシーブにかけての範囲と2番スローワで風速と風向を測定した。通常の熱線式風速計では,供試材料の水が付着すると熱線が焼損することも考えられるので,熱線部分がセラミックで封止された西独ウェーバ社製のベントキャプターを用い,風速を測定した。 その結果,水稲を流さずに測定した選別部の風速分布は,コンバインの胴体の端の方ほど風が強いこと,水平面からの角度が60°〜90°の時に風が強いことが明らかになった。また,選別部の構体外側に近い場所の風速が中央部よりも1.5m/s程度大きいことも明らかになった。次に,水平面からの角度にして45°〜60°以上になると風速がほぼ一定値になることから,この方向が唐箕ファンから送られる風の流れる方向を示している。 2番スローワ内の風速分布は均一ではなく,スローワの方向からすると下向きの-30°〜-15°付近や,スローワの上端を目指す方向の45°〜60°付近の風速が大きく,中心部付近で低下することが分かった。 従来型の熱線式風速計を用いて,選別部内の風速分布を測定したところ,最高速度は水平方向から時計回りに30°〜60°の所に存在することが分かった。 最後に,実際の刈取りを行いながら選別部内の風速を測定したところ,選別部内を流れる籾の流量による風速の変化は見られなかった。また,2番スローワの上ではエンジン負荷による影響を受けたが,1番オーガとグレインシーブの間の空間での風速はエンジン負荷の影響を殆ど受けていなかった。
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