研究概要 |
(圃場情報システムの作成)採草地内に面積7〜14aの調査区を4つ設定し,1.5m×2mの小区画毎に刈取り番草毎の収量を調査した。また,土壌の理化学性(硝酸態窒素濃度,pH)と土壌水分を調べるために,調査区内に長さ50mの定点観測区を設け,刈取り番草毎,小区画毎に,表面から5cmずつ4層の土壌を合計300点採取した。計量土壌学の一手法であるセミバリアンス解析の結果,収量,硝酸態窒素濃度,pHおよび土壌水分のいずれも,空間依存性が認められ,ばらつきを把握するには採取間隔を10m以下とする必要があった。収量と関連の深い硝酸態窒素濃度は,草地表面から5cm深までの層で最も高く(6月上旬,194±148mg/リットル,データ数100),5cm以下の層とは明らかに差異が見られた。従って,この層の理化学性の時間変動を捉えることが重要であると思われた。 (作業ナビゲーションシステムの作成) 精度20cmのGPS受信機(ノバテルRT20‐E)を装備したトラクタで,刈取り試験を実施した結果,基準線に対して10cm以下の横方向のずれを認識でき,肥料散布や牧草反転作業には十分利用できることを確認した。また,トラクタに備えたモニタを利用した作業ナビゲーションを実施する場合,前方予測位置画面と圃場全体の位置画面の両面表示が不可欠で,また,進行方向を画面上にすることが運転者への操作情報として有益であることが明らかにされた。(トラクタ自律走行システムの作成)システム自体の性能を確認するために,位置の認識精度の高い光波測距測角儀をセンサとして代用し,自律走行システムによる基礎実験を行った。光波測距測角儀はRS232C出力をもち,無線通信で位置情報を伝送するシステムはGPSに共通する。周期1sで,走行速度0.3m/sと低速ではあったが,直線と半円旋回を組み合わせた約1kmのコース上を自律走行できた(最大位置認識誤差は0.3cm)。
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