研究概要 |
本研究は,乾燥地・半乾燥地における農業および生活用水確保のため,太陽エネルギー直接利用による高効率的な塩水淡水化システムを開発することを目的としている。 研究最終年度にあたる平成12年度においては,太陽エネルギー直接利用の水盤型ソーラースチルの造水・集水特性に関する実験的および理論的研究成果を取りまとめ,システム設計の基本的指標を提出した。また,水盤型ソーラースチルとともに,新たに熱拡散多重効用型システムについて実験的にその造水性能を検討した。 研究結果は以下の通りである。 1.水盤型ソーラースチルにおける非定常熱収支解析に基づき,自然環境条件ならびに装置設計要素によるシステムの造水性能を検討した。とくに,日射ピーク値の高い日射変動パターンの方が造水量が大きいことを示した。 2.ソーラースチル水盤から蒸発促進方法について実験的に検討を加えた。水盤への超音波付加により造水量は10〜20%増加し,水盤表面への日射吸熱膜の設置により造水量は約20%増加し,また蒸発面積拡大部材の付設により造水量が約35%増加するとの効果を示した。 3.熱拡散多重(3段)効用型装置のモデル実験より,本装置による単位面積あたり造水量は水盤型の約7倍となる高い効率を示した。 以上の結果を総合報告書として取りまとめた。
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