研究課題/領域番号 |
10660256
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
白井 邦郎 東京農工大学, 農学部, 教授 (70107168)
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研究分担者 |
野村 義宏 東京農工大学, 農学部, 助手 (10228372)
石井 泰博 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90015090)
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キーワード | 毛ケラチン / 可溶性毛ケラチン / S-スルホン化ケラチン / ジスルフィド形ケラチン / コラーゲンフィブリル形成 / 共線維形成系 / コラーゲン・ケラチン複合材料 |
研究概要 |
1)豚毛をジチオストレイトール(DTT)を用いて還元した後、亜硫酸ナトリウムと4チオン酸ナトリウムで処理してS-スルホン化することにより毛から約60%の収量でBunte塩形可溶性ケラチンを得ることができた。得られたケラチンの組成をキャピラリイ電気泳動、SDS-PAGE、アミノ酸分析、IRスペクトル分析によりケラチン中シスチン残基がS-スルホン化されていることを確認した。2)この可溶性ケラチンを精製し、凍結分別沈殿することにより、繊維形成能の強いタンパクBpと繊維形成能のないタンパクBsに分画することができた。BpとBsの理化学的性質の違いをアミノ酸分析、SDS-PAGEで明らかにした。3)Bunte塩ケラチンは、含まれるS-スルホン基に対して化学量論的なモル比でDTTを添加することにより、脱スルホン化してジスルフィド形ケラチンを再生することを認めた。4)添加するDTTの量をコントロールすることにより、任意のモル比で分子内にS-スルホン基とジスルフィド基を可溶性ケラチン(部分還元Bunte塩ケラチン)を得ることができた。5)この部分還元ケラチンは生理的環境に近い条件下で良好な溶解度を持つことを認めた。6)部分還元Bunte塩ケラチンは生理的環境に近い条件下でコラーゲン溶液からのフィブリル形成反応を促進することを認めた。7)従って最適の組成の部分還元Bunte塩ケラチンを使用し、かつ溶液中のコラーゲンと部分還元Bunte塩ケラチンの共存環境を最適化することにより、コラーゲンとケラチンを同時に繊維化する反応系を構築し、これを新機能複合材料の開発に応用できるとの見通しを得た。
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