本研究の目的はその構成脂肪酸に大きな違いのある家畜由来の動物性脂肪と植物油とでは摂取のされ方、さらには、摂取後の生体内での蓄積のされ方にどのような違い乃至特徴があるか、を調査することにある。先ず、肝臓1g当たりに含有される脂質重量という指標で見ると餌重量ベースで12%(日本人の平均脂肪摂取割合)の紅花を含む餌を摂取したラットのグループで他の脂質を摂取したラットグループよりも高い値を示した。腹腔内への脂質の蓄積について見ると、今回テストした4種類の脂質、即ち、牛脂、カノーラ油、オリーブ油及び紅花油の間では有意な違いは見られなかった。但し、血清トリグリセリド濃度は牛脂、オリーブ油を摂取させたラットグループで有意に高い値を示した。糞中の脂質重量については有意さは見られなかったが、過酸化脂質は植物油を摂取したラットのそれで高い傾向を示した。さて、生体内に蓄積した脂質の脂肪酸組成について調査したところ、腹腔内脂肪のそれは摂取した餌に含まれる脂質の脂肪酸組成のそれと極めて類似していた。次いで、筋肉や肝臓に蓄積する脂質のそれが餌のそれを良く反映したものであった。血清脂質の脂肪酸組成は摂取した脂質のそれをあまり反映せず、比較的類似した組成を示した。しかし、植物油を摂取したラットグループではアラキドシ酸の割合が高かった。これらの蓄積脂質の過酸化脂質は牛脂を摂取したラットグループで相対的に低い値を示したが統計的に有意な違いにまでは至らなかった。
|