研究概要 |
合鴨雛の耐寒性を解明する上での基礎的知見を得るために、雛の日齢と体温調節機能の関係について検討した。試験は0,1,2,4,6,8,10,12,14,16日齢の合鴨雛各27羽ずつに対し、48時間の寒冷暴露(5℃)を行った。寒冷暴露による死亡個体の発生率、体温および血液性状(赤血球、血糖値、白血球中の好酸球割合)の変化を調査した。なお、合鴨雛は供試日齢に達するまで25℃の温度条件下で飼育した。 得られた結果は、以下の通りである。 1.0,1日齢の合鴨雛は寒冷暴露によりそれぞれ55.6%、61.1%が死亡した。2〜16日齢の合鴨雛では、寒冷暴露による死亡個体の発生はみられなかった。 2.寒冷暴露前後の体温変化については、0〜4日齢の合鴨雛で暴露12時間後に0.7〜1.8℃の体温低下が認められた(P<0.05)。2,4日齢の合鴨雛の体温は寒冷暴露48時間後に暴露前と同水準に回復した。0,1日齢の合鴨雛については体温の回復がみられなかった。一方、6〜16日齢の合鴨雛では寒冷暴露による体温低下が認められなかった。 3.血液性状については、1,14日齢の合鴨雛で赤血球数が寒冷暴露後、低下した(P<0.05)。血糖値は、0,1,12日齢の合鴨雛で暴露12時間後に上昇した(P<0.05)。好酸球割合は0,2日齢の合鴨雛で寒冷暴露により有意に低下した(P<0.05)。このように、寒冷暴露による血液性状の変化は、主に0〜2日齢の合鴨雛で観察された。 以上のことから、合鴨雛は孵化してから約1週間で体温調節機能を獲得する可能性が示唆された。
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