チーズ熟成に寄与する酸性ホスファターゼの起源を明らかにする目的で、スターター添加および無添加チェダーチーズを製造し、熟成期間中の酸性ホスファターゼ活性の挙動について検討した。また、チーズ中に存在するプロテイナーゼ/ペプチダーゼと酸性ホスファターゼの協同作用については昨年に引き続き検討した。 チェダーチーズの製造は生乳20kgを1バットとし、スターターとしてLactococcus.lactis subsp.lactis 303を添加した。スターター無添加チーズは、乳酸とgluco-δ-lactoneを用いpH調製を行った。酸性ホスファターゼ活性はp-nitrophenyl phosphate、プロテアーゼ活性はFluorescein-isorhiocyanateラベル-カゼインおよびホスフォペプチドに対する活性を測定した。 チェダーチーズ中の水溶性画分の酸性ホスファターゼ活性は時間の経過とともに減少し、水不溶性画分およびチーズ全体のそれは微増傾向が示された。また、乳酸菌由来の酸性ホスファターゼ類を作用させた後のカゼイン/ホスフォペプチドに対する乳酸菌由来プロテアーゼ類の活性は、細胞膜由来乳酸菌酸性ホスファターゼを作用させたホスフォペプチドに対し高い活性が認められた。これらのことから、特に細胞膜由来乳酸菌酸性ホスファターゼが熟成中の脱リン酸化に関与していると思われる。 Lactococcus lactis subsp.lactis 303酸性ホスファターゼの一次構造の解析は現在も引き続き検討中である。
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