初代培養筋肉細胞を用いて、細胞の成長、タンパク質の代謝回転ならびにアポトーシスに及ぼすサイロキシン(T_4)ならびにトリヨードサイロニン(T_3)の影響について調べた。細胞の成長の指標として用いたクレアチンキナーゼ活性はT_4とT_3により共に増加した。T_4からT_3への変換を特異的阻害剤であるイオパノ酸で阻害した場合にも、T_4はクレアチンキナーゼ活性を増加させた。 〔^3H〕チロシンでタンパク質をラベルした後、過剰のチロシンを含む培地へ細胞を移し、〔^3H〕チロシンの放出を測定することにより、タンパク質の分解速度を測定したところ、T_3はタンパク質の分解速度を明らかに増加させたが、T_4はタンパク質分解に影響を及ぼさなかった。 アポトーシスはDNAの断片化率により判定した。断片化率はゲル電気泳動法および遠心分離法により観察した。DNAの断片化率はアポトーシスの場合と同様にT_3によって促進されたがT_4の影響は認められなかった。 以上の結果は、T_3とT_4に明らかに作用の違いがあることならびにT_3はタンパク質分解を高めることによりアポトーシスを促す可能性を示唆している。
|