研究概要 |
マウス受精卵の初期発育過程においてコラーゲン合成の阻害は初期胚の発育を抑制した。受精卵の初期発育過程でのコラーゲン遺伝子の発現をしらべ、そしてコラーゲンの存在を免疫組織化学法で検討した。実験には15〜20週齢のICRマウスを用いた。2細胞期胚は過排卵処理のhCG投与後41〜44時間の間に採取された。採取した胚はMl6を基本とする培養液中で37°C,5%C02,95%空気の気相下で培養された。用いる胚は4細胞期、8細胞期、桑実期および胚盤胞期に回収した。胚中の総RNAはTORIZOL法により抽出し、RT-PCRに用いた。コラーゲン遺伝子の発現はコラーゲン1、3、4のタイプ毎にプライマーを設計し、調べた。コラーゲン1の遺伝子は4細胞期胚では弱い発現であったが、胚盤胞期胚では強く発現した。タイプ3では4細胞期と胚盤胞期の胚で弱く発現した。タイプ4の発現は8細胞期胚と桑実期胚では弱く、胚盤胞期胚では強かった。初期発育時のコラーゲンの存在を抗体としてヒトコラーゲンタイプ1〜5の混合体を用いて免疫組織化学法で検討した。マウス初期胚では2、4、8細胞期胚では弱いながらも、抗体抗原反応が認められ、桑実期胚および胚盤胞期胚となると強く認められた。これらの結果はマウス受精卵の初期発育過程においてコラーゲンの合成が行われていることを示す。合成されるコラーゲンタイプは初期発育時期によって異なることを示唆する。
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