研究概要 |
種々の動物の精巣におけるinhibin α-subunitの発現について多々報告されており,主にセルトリ細胞で発現するとされている。ウマの精巣におけるinhibin α-subunitの発現については報告されていない。そこで本研究ではinhibin α-subunitに対する抗血清を用いた免疫組織化学,精巣抽出液でのウエスタンブロツティング,inhibin α-subunitに特異的なcDNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーションの技術を用いて1歳から9歳までのウマの精巣におけるinhibin α-subunitの発現について検索した。 1. 免疫組織化学では,ライディッヒ細胞とセルトリ細胞の両方にinhibin α-subunitに対する免疫陽性反応が認められた。この陽性反応は年齢や季節に関係なく認められ,それはセルトリ細胞よりもライディッヒ細胞により強く認められた。 2. ウエスタンブロットでは,間質と間質を除いた残りの組織(主に精細管よりなる)の両方の分画で46kDa,56kDa,90kDa付近にバンドが認められた。56kDa,90kDaのバンドはこれまでのinhibin α-subunitの成績と一致した。 3. in situハイブリダイゼーションでは,間質ではライディッヒ細胞に,精細管ではセルトリ細胞を含む精細管基底領域にシグナルが検出された。 以上の結果から,成ウマの精巣ではセルトリ細胞のみならず,ライディッヒ細胞でもinhibin α-subunitが発現しており,ライディッヒ細胞でより多く発現しているであろうことが示された。
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