食虫類は進化的に、哺乳動物進化の根幹に位置づけられている生物種である。本研究では多様な塩基配列を有する哺乳動物のセントロメア・サテライトDNAの進化を探る目的で、実験動物化された食虫類スンクスのゲノムDNAよりサテライトDNAを分離しその解析と染色体マッピングを行っている。スンクスのDNAを制限酵素BamHIで消化しアガロース電気泳動にかけると顕著な4本のバンドが観察される。各バンドを構成するDNAを分離し、遺伝子ライブラリーを作製、6種の異なるクローン(pSB1、pSB2a、pSB2b、pSB2c、pSB3、pSB4)を分離した。1.3kbのサテライトバンドからは大きさがわずかに異なる3種のクローンが分離された(2a、2b、2c)。これらのすべてのクローンについて、蛍光in situ ハイブリダイゼーションを行い、染色体上の分布を調べたところ、すべてのクローンは染色体のセンロメアに局在することが明らかになり、目的のサテライトDNAであった。分離したクローンのうち最も大きな1.8kbのサテライトの塩基配列を決めたところ、この中にマイクロサテライト(TTC)が21コピー存在していた。合成オリゴ(TTC)6は他の5つのクローンとも強くハイブリダイズする事から、スンクスのサテライトDNAは相当量の(TTC)nを含むことが明らかである。現在までのところ(TTC)nを含んだセンロメア・サテライトDNAの報告はない。
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