研究課題/領域番号 |
10660302
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
林 俊春 山口大学, 農学部, 教授 (90111484)
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研究分担者 |
森本 将弘 山口大学, 農学部, 助手 (30274187)
前田 健 山口大学, 農学部, 助教授 (90284273)
岩田 裕之 山口大学, 農学部, 助教授 (40193750)
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キーワード | 乳酸脱水素酵素ウイルス / 馬ヘルペスウイルス / イバラキウイルス / 疫学 / Th1細胞 / クローニング |
研究概要 |
実験動物のマウスに一生不顕性感染を示す乳酸脱水素酵素ウイルス(LDV)は、その感染により、抗原提示能を抑制するなどして、宿主の免疫反応を修飾する。一方、ヘルペスウイルス感染症は動物体内に潜伏感染し、時に再活性化する。さらにウシのオルビウイルス感染は咽喉頭麻痺の原因となる重要な疾患である。上記の各種感染症について、遺伝子、免疫、微生物、病理学的に様々な角度から検討した。 LDVはマウスの免疫系に対してTh1型の免疫を誘導し、逆にTh2型の反応を抑制することが明らかとなった。しかしこの免疫反応の偏りはTh1細胞とTh2細胞との間の相互抑制に基ずくものではないことも明らかとなった。また、馬の届出伝染病に指定されている馬鼻肺炎の原因ウイルスはウマヘルペスウイルス1型と4型であるが両者は非常に血清学的に類似しており、血清疫学的にどちらのウイルスに感染したのかを診断できなかったが、血清疫学的に診断が可能なELISA系を確立した。更にこのELISA系はワクチンにより誘導された抗体と反応せず、自然感染により誘導される抗体と反応することが証明され、ワクチン接種が行われている馬群においても疫学調査が可能であることが示された。さらにオルビウイルスのM5セグメントは1641bpであり、単一のオープンリーディングフイレイムを有し2949bpで、アミノ酸残基数は982であることが判明した。またVP5蛋白は組み換えバキューロウイルスにより昆虫細胞に発現させることができた。またL2ジーンは3002bpで単一のオープンリーディングフイレイムを有し、アミノ酸残基数は527であることが判明した。以上の成果は今後予想される遺伝子治療や組み換えワクチンの開発のための重要な基礎を与えると思われる。
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