研究概要 |
Rhodococcus equiは子馬の化膿性肺炎の起因菌である。本菌には強毒株、中等度毒力株と無毒株が存在し、強毒株には15-17kDa抗原が、中等度毒力株には20kDa抗原が毒カマーカーとなっている。2種類の毒力関連抗原は85〜100kbの大きなサイズの病原性プラスミド上にコードされており、病原性プラスミドが脱落した無毒株は生体内で増殖できないことから病原性プラスミドは病原性発現に不可欠な遺伝子群をコードすると考えられている。私たちは本菌の病原性発現機構を分子遺伝学的に解析し理解することを目標として、85kbの病原性プラスミドの全塩基配列の決定するプロジェクトを開始した。これまでにプラスミドDNAのショットガンクローニング法を用いて約1kbのDNA断片をサブクローンニングし、435個のクローンの塩基配列を調べ、約52.4kbの塩基配列を決定した。今年度から全塩基配列を決めるため残されたクローンのシークエンスと繋がった塩基配列のギャップを埋めるためのGene walking法による塩基配列の決定を行った。今年度は480個を新たにサブクローニングしForwardとReverseを含めた837個の塩基配列を決定した。これまでの435個と今年度の480個の塩基配列をDNAシークエンス編集ソフトSequencherを用いて解析した。バラバラの塩基配列が連結され、プラスミド上の位置が決まった4つの大きなDNA断片のサイズは2,810bp、6,107bp、15,065bp及び32,359bpであった。プラスミド上の位置の決まらない塩基配列を含めてこれまでに合計88,467bpの塩基配列が明らかとなり、塩基配列の重複は6.62倍であった。また、Gene walking法を用いて13,945bpと48,417bpの連結塩基配列の病原性プラスミド上の位置が決定出来た。
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