研究概要 |
ロドコッカス・エクイの病原性発現機構を分子遺伝学的に解析し理解するため、病原性プラスミド(pREAT701)の全塩基配列の解読を平成10-11年度の2年間に渡り実施した。プラスミドDNAをSau3AIで部分分解後、pUC19等に挿入してDNA libraryを作製し、shotgun sequence法により塩基配列を決定した。全塩基配列の約7倍のデータから、10数個のcontigが得られ、そのgap部分はPCRとprimer walkingで連結した。決定した塩基配列は、これまでの予測より小さい80,608bpで、G+C%は64.6%であった。Computerによる解析で、67個のORFの存在が推定され、それらは、全塩基配列の73.5%を占めていた。66個のORFのうち、databaseと有意な相同性を示したものは30個のみで、このうち11個は他の菌においても機能不明であった。既知の蛋白と相同性を示した19個のうち興味あるものは、VapAと高い相同性を示すORFが、さらに6個近傍に見出されたことであった。これら遺伝子が存在する1〜21,000bp領域でのGC含量(59.0%)は、それ以外の領域(67.5%)や染色体DNA(71.0%)のそれよりも低く、また、codon usageにも著しい違いが見られ、さらにtransposonの転位に関与する酵素に類似する遺伝子2個がこの領域を挟むように存在していることから、この領域がプラスミド上でのpathogenicity islandを形成していると推測された。pREAT701の全塩基配列が決定され、本菌の病原性発現機構を分子レベルで明らかにする糸口をつかんだ。
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