プラスチックの多くは 自然環境の中で分解されないために その廃棄物は環境中に半永久的にとどまり大きな環境問題を引き起こしている。そこで今新たな材料に必須と考えられる性質の一つは「生分解性」であろう。そして今ひとつ重要なことは それらの材料が エコマテリアルであること つまり 可能な限り化石資源を出発物質とせず 使用に当たっても廃棄に当たっても環境と調和し環境への負荷の少ない材料であることと考えられる。。一方 現在まで人類が得た 種々の機能を捨て去ることはできない。 そこで 本研究では 「生分解性」と「機能性」の並立をはかるための基礎的研究を計画した。すなわち 生分解性を有することで知られているバクテリアセルロース(BC)を出発物質として その「生分解性」を保持したままの形で 機能化することへの試みである。 平成十年度では 初年度であり 予備実験的となったが 以下の点について研究を行った。 1) 「生分解性」評価方法に関して 実験室的評価方法の確立 2) 付与すべき機能の 化学修飾方法の確立 3) 付与した機能の 評価方法 化学修飾する官能基としては 申請者が従来行ってきたシアノエチル基とアセチル基とし 木材由来のセルロースや 再生セルロース、また、ほかのD-glucoseを繰り返し単位に持つ糖質類との比較も試みることとした。また、1〜3の実験を行うに当たって 随時官能基を定量的に測定するため、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製 FT/IR-430)を 本助成にて購入し活用している。 次年度においては 本年度確立された手法を用いて 官能基の導入によってBCが生来有する生分解性にどのような影響を与えるのか 明らかにしたいと考えている。
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