研究概要 |
《植物成長活性化因子の特定》 植物タンパク質分解物(DSP)の植物成長に寄与する画分を明らかにするため,まず植物を用いたアッセイ系を確立した.この方法により,7日間という短期間で植物成長活性化効果を見ることが可能となった.その後,大量培養したDSPを用い,透析等による分画を行い,この植物アッセイ法を用い解析した.その結果,分子量1,000以下,親水性のアミノ酸由来物質が植物成長を活性化していた.また,本物質は根に特異的に作用し,根毛を刺激していることが明らかになった. 《物質生産》 ジャーファーメンター(50リットル)を用いて,DSPの大量生産のための諸条件を確立した.その結果,消泡,撹拌速度,培養温度コントロールを適切に制御することによりフラスコ培養と同じ再現性が得られ,最終的に25mg/mlを越えるペプチド・アミノ酸濃度に達した.最終的に1トンのジャーファーメンターまでスケールアップ出来ており,大量生産が可能となった. 《フィールド実験》 大量生産により得られたDSPをフィールドで植物成長試験を行った.小豆を対象とした収穫の比較において,慣行区と比べ約70%の増収があり,実験室の再現が得られた. 《課題および今後の予定》 成長活性化因子の格定については,分子量分布まで把握できたため,アミノ酸解析の手法を用いて構造を特定する.物質生産においては,保存安定性や粉末化に課題があり,今後の検討項目とする.フィールド実験は,土壌微生物量の把握が課題であり,植物成長と微生物量の解析を中心に研究を行う.
|