《植物成長活性化因子の解析》 前年度の研究結果をうけて、植物成長活性化因子の解析を試みた。まず、大豆タンパク質自身の生理活性を調べるために、塩酸で完全に加水分解したものの活性を測定した。その結果、この画分には活性は認められなかった。次に、各種プロテアーゼを用いて大豆タンパク質を加水分解させ、その分解産物の生理活性効果を調べたところ、同様に活性は認められなかった。これらの結果から、植物成長活性化因子は、本研究で得られたBacillus circulans HA12およびStreptomyces sp.MF20株を用いた場合、特異的に現れる物質であることが明らかになった。また、HA12株を用いた場合の植物成長活性化因子を逆相クロマトグラフィーでシングルバンドになるまで精製し、物質の特定を行った。 《核酸を用いた土壌微生物量の定量》 本研究で見出された植物成長活性化物質は、土壌微生物も活性化する。そこで、土壌中の微生物量と核酸量との関係を指標に、土壌微生物の評価方法の確立を試みた。その結果、効率的な核酸抽出方法を確立し、土壌由来核酸量と従来の希釈平板法との間に相関が認められ、土壌中の核酸量から微生物量を定量する方法を確立した。 《大型醗酵槽による物質生産》 200リットル醗酵槽を用い、HA12株およびMF20株由来植物成長活性化因子の大量生産系を確立し、大量生産プロセスを用いた工学的条件検討を終了した(再現性ある効率のよい物質生産が可能となった。)。また、長期保存安定性試験を実施し、2年間の保存安定性を確認した。
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