肝臓特異的遺伝子発現の調節機構に関するin vivoの研究 動物個体の肝臓において肝臓特異的遺伝子発現がどうのように制御されているかについて、肝再生時の肝臓を用いて肝臓特異的転写因子との関係について検討した。肝臓の再生時は、少なくなった肝細胞で、通常の機能を維持を行わなければならない。肝再生時には、普通時以上に肝機能を亢進している可能性も考えられる。肝再生時の肝機能維持にC/EBPβが重要な役割を果たしている可能性が確認された。さらに、肝再生時のHNF-4遺伝子発現を調べたところ、いずれの肝再生モデルでもいったんそのmRNA量は低下するものの、その後、再生を行っている細胞でHNF-4遺伝子発現が誘導されることが明らかとなった。これらの結果より、肝再生時の肝機能維持にHNF-4が重要な役割を果たしていることが示唆された。 肝細胞の形態によるHNF-4遺伝子発現の制御 肝機能維持に肝細胞の形態が重要であり、形態による肝機能の維持においてHNF-4が中心的な役割を果たす転写因子であり、肝細胞の形態の情報に微小管が重要であることを示してきた。HNF-4遺伝子発現は微小管以外の細胞骨格タンパク質の崩壊によって影響を受けず、微小管が重要であることが明らかとなった。微小管の動的不安定性は重要でなく、微小管のネットをワークの形成が細胞形態の情報伝達に重要であることがわかった。微小管重合阻害剤を除去することによりHNF-4遺伝子発現を誘導する実験系を用いて、微小管依存的な肝細胞の形態によるHNF-4遺伝子発現の誘導に必要な細胞内情報伝達経路の検討を行った。バナジン酸が特異的にHNF-4遺伝子発現の誘導を阻害した。この結果より、細胞形態による微小管依存的HNF-4遺伝子発現の誘導にリン酸化チロシンの脱リン酸化が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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