研究課題/領域番号 |
10660318
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
岩崎 行玄 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (20193732)
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研究分担者 |
旭 正 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (10023392)
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キーワード | Gibberellin / G protein / Plant hormone / Promoter / Rice / Transgenic rice |
研究概要 |
我々は、イネ矮性変異体、大黒(d1)が、3量体Gタンパク質αサブユニットに変異を有することを明らかにした。この変異株は、矮性、短粒、濃緑葉などの特徴ある表現型を示す。つまり、イネ3量体Gタンパク質は、節間や種子形成に重要な機能を有していると考えらえる。本研究課題においては、この変異体を利用して、3量体Gタンパク質が関与する、外来シグナル、レセプター、エフェクターの各分子を同定し、矮性、短粒の原因となるメカニズムの解明を目指した。 (1)イネ3量体Gタンパク質αサブユニットが関与する植物ホルモンの同定。 ジベレリンを半種子に投与した場合、大黒d1は野生型に比べて、低濃度のジベレリン存在下で、αアミラーゼの生合成能が著しく低下していた。ただし、高濃度のジベレリン存在下では、大黒d1も野生型に匹敵するαアミラーゼを蓄積した。このことは、3量体Gタンパク質は、低濃度のジベレリンの情報伝達に関与することを示唆している。現在までの結果は、すべてのジベレリンの情報伝達にGタンパク質が関与するわけではなく、特定の組織(イネの場合はアリューロン層)のジベレリン情報伝達に、しかも濃度依存的(低濃度)に、3量体Gタンパク質が機能していると推定している。 (2)3量体G蛋白質αサブユニット遺伝子のプロモーター解析。 3量体Gタンパク質αサブユニットのゲノミックDNAを単離した。この遺伝子を用いて、大黒d1が、野生型に復帰することを確認した。次に、この遺伝子のプロモーター領域にGUS遺伝子を連結し、これを導入した形質転換植物を作成した。T2種子において、アリューロン層にGUSの発現を確認した。この組織は、ジベレリンのシグナルを受けて、αアミラーゼを合成する組織である。大黒d1では、アルーロン層でのαアミラーゼの生合成が阻害されている。今回の発現部位の結果は、G蛋白質がジベレリン情報伝達に関与することを裏ずけた。
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