研究課題/領域番号 |
10670004
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
青木 武生 群馬大学, 医学部, 助手 (70150919)
|
研究分担者 |
藤本 豊士 名古屋大学, 医学部, 教授 (50115929)
|
キーワード | カベオリン / 燐酸化カベオリン / チロシンフォスファターゼ / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / IP_3レセプター様蛋白質 / ゲニスタイン / ハービマイシン |
研究概要 |
Srcファミリーチロシンキナーゼの基質として知られるカベオリン-1のチロシン燐酸化されたものを認識する抗体(PY14)を作成し、まず基本となる血管内皮細胞におけるカベオリン燐酸化の意義について検討した。ラットin vivo組織の蛍光抗体標識では、PY14は大動脈、下大動脈等の大血管、有窓型毛細血管には陰性であったが、連続型毛細血管および細静脈の内皮細胞に陰性を示した。また、今回の組織所見において、脂肪組織では細胞自身には陰性であったが、細胞間を走る毛細血管で陽性であった。 カベオリンの燐酸化の生理的意義について解明する為のモデル実験として、血管内皮細胞を用いた。通常の条件で培養した血管内皮細胞ではPY14の反応は陰性であったが、チロシンフォスファターゼの阻害剤あるいは酸化ストレスなどを負荷すると、反応陽性となり、同時にカベオリン-1の標識は細胞辺縁部から核周囲部に移行した。カベオラの他のマーカーであるカベオリン-2やIP3レセプター様蛋白質も同様の部位変化を示した。これらの刺激された細胞では、通常細胞表面に存在するカベオラが激減しており、細胞内にカベオラとほぼ同じ大きさのカベオリン-1抗体陽性の小胞が、多数観察された。この抗体で認識されるウェスタンウブロット上のバンドはゲニスタインとハービマイシンの前処理で消去されたことから、この燐酸化はチロシンキナーゼの関係する反応によるものである思われた。チロシンフォスファターゼの阻害剤刺激で一度細胞内に内在化された燐酸化カベオリンは、その後細胞を洗った後24時間の時点でも、燐酸化されたままであった。さらに、カベオリン-1の分布は約72時間で元の状態に復帰し始めた。 今後このような現象の生理的機構の解明とそれを基礎にしたカベオリンの脂肪代謝に対する関連性を解明する。
|