研究概要 |
DNAを導入する方法としてリン酸カルシウム法、リポソーム法、リポフェクトアミン法、電気穿孔法などがある。当研究では電気穿孔法を用いて、ニワトリ胚に遺伝子を導入し、特定の蛋白質を発現させようとしている。昨年より電極の改良を試みているが、本年は電極の材質を金にし、長さ1mm、高さ0.5mm、厚み0.2mm程度の角材を電極として作成した。胚の心臓程度の大きさである。しかしこの電極ではほとんどDNAを導入できなかった。これまでの実験成果をまとめると(1)25V,50msec,8回の電気インパルスで行うとDNAの入っていることが多かった。(2)特に72時間胚では効率がよかった。(3)心臓には電気穿孔法ではDNAを導入することができなかった。むしろ心臓の近くの肢芽、及び腹部に導入されることが多かった。血流が心臓への導入をじゃましていることが考えられる。結論としてニワトリ胚に電気穿孔法でDNAを導入し発現させることは難しかったが、組織のより深い部分へと導入することができた。 GFP蛋白質をニワトリ胚に発現させて羽化させ、このニワトリにUVを照射すると体の一部が緑色に光る動物を作成する計画であった。ニワトリ胚への導入が難しいことが判明したため、心筋と骨格筋の培養細胞にリポフェクトアミンを用いて導入した。GFPは筋細胞内で発現し、非常に明るい緑色の蛍光を発した。試みとして筋蛋白質のトロポニンI(TnI)にGFPをタグとして融合し、筋原線維へどのように取り込まれるかを観察した。GFP-TnIは筋原線維のI帯に取り込まれ、良好な光量で発現した。結論としてこれまで試みた中では、DNAの導入にはリポフェクトアミン法が最も良好な結果が得られることが分かった。
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