研究課題/領域番号 |
10670007
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
前川 眞見子 千葉大学, 医学部, 助手 (20181571)
|
研究分担者 |
外山 芳郎 千葉大学, 医学部, 講師 (70009637)
豊田 二美枝 千葉大学, 医学部, 助教授 (60009751)
|
キーワード | Fynチロシンキナーゼ / 精巣 / セルトリ細胞 / 細胞骨格 |
研究概要 |
今年度はfyn遺伝子欠損マウスの解析を中心に行った。 1.マウス精巣組織のTriton X-100可溶分画と不溶分画を電気泳動後Western blottingを行った結果、Fynは大部分が不溶分画(細胞骨格分画)に回収される。また抗リン酸化チロシン抗体を用いたWestern blotの結果、fyn欠損マウス精巣では、約80kDaのチロシンリン酸化蛋白(p80)が、野生型マウスに較べ顕著に減少していた。この蛋白は主に細胞骨格分画に回収され、精巣発達過程におけるタンパク量の増減がFynと似ており、Fynチロシンキナーゼのターゲットである可能性がある。今後、p80のキャラクタライズを進めていく予定である。 2.fyn欠損マウスを用いてその精巣の発達過程を調べたところ、生後3〜4週の未成熟な精巣は野生型マウスに比べ軽く、精細管の径も小さかった。光顕、電顕的に観察した結果、多数の生殖細胞が変性に陥っていることがわかった。 3.fyn欠損マウスの成熟雄は生殖能力を持つことから、他のチロシンキナーゼがFynの機能を補償すると考えられる。そこで、SrcキナーゼについてWestern blottingで調べたが、fyn遺伝子欠損マウスと野生型マウスとで精巣における発現の差異は見られなかった。 4.以上の結果から、Fynチロシンキナーゼはセルトリ細胞内情報伝達を制御することにより、セルトリ細胞による特定の段階の生殖細胞の生存・分化の調節に関与していることが示唆される。
|